世界自然遺産について
About Natural World Heritage

世界に認められた価値

小笠原諸島では限られた面積の中で独自の種分化が起こり、数多くの固有種が見られ、特に陸産貝類や植物においては、今なお進行中の進化の過程を見ることができます。
なかでも陸産貝類は100種(固有種率94%)が確認され、現在も新種の発見が続いています。カタマイマイ属では樹上性、地上性などの生息環境により殻の色や形の特徴が異なります。

カタマイマイ属の貝類の多様性(提供:千葉聡)
多様な殻に分かれたオトウトカタマイマイ

乾性低木林には、東南アジアや沖縄の照葉樹林の構成種に似た固有種が見られます。これは、照葉樹林の構成種が海洋島である小笠原諸島に到達した後、小笠原の気候条件に合うように適応したことにより成立したと考えられています。ただし、大陸で優占するシイ・カシ類は見られず、種組成は独特の内容となっています。
また、適応放散により生じた固有種が数多く見られるとともに、雌雄性の分化や草本の木本化など、海洋島独特の進化様式も観察できます。

このように、小笠原諸島は海洋島における種分化の過程を保存している「進化の実験場」であり、重要な進行中の生物学的過程を代表する顕著な見本であるといえます。これらによって、小笠原諸島の特異な生態系が形成されています。

兄島の乾性低木林
MAP
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