小笠原の成り立ち・地形
小笠原諸島は、島が誕生し成長してきた過程を観察できる貴重な場所です。通常は海底にあって観察が難しい岩石を、陸上で簡単に見ることができ、それは大陸がどのように作られてきたかという「地球の進化」を知る手がかりともなるものです。
聟島列島、父島列島の成り立ち
約4,800万年前、太平洋プレートがフィリピン海プレートの下に沈み込みを始めました。プレートのすぐ下で発生したマグマの火山活動により、聟島列島、父島列島ができました。
このときに発生したマグマが冷えて固まった岩石は、「ボニナイト」と呼ばれ、隕石によく含まれる鉱物を含む、地球上で観察するのはとても珍しいものです。
小笠原で最初に発見されたため、「ボニン・アイランド」から名付けられました。
父島列島のここが見どころ!
ボニナイト
島ができる時に発生したマグマが冷えて固まったもの。父島列島から聟島列島にかけて分布しており、父島では宮之浜、釣浜の東岸、初寝浦~石浦などで観察することができます。
ボニナイトが良い保存状態で残され、観察できるのは、地球上で小笠原だけ!
枕状溶岩
海底火山の噴火で生じたもの。父島では小港海岸や亀の首の海食崖、長崎トンネル、釣浜などで観察することができます。
釣浜ではボニナイトの枕状溶岩を見ることができます!
※小港海岸の枕状溶岩は安山岩です
カルスト地形(ラピエ・ドリーネ)
石灰岩が侵食や風化を受けてできたもの。南島では、ラピエと呼ばれる鋭く尖った岩や、ドリーネと呼ばれるすり鉢状の窪地(扇池、鮫池等)が見られます。
また、南島周辺ではカルスト地形が海中に沈降した「沈水カルスト」地形が見られます。
沈水カルスト地形は国内でも珍しく、国の天然記念物に指定されています!
母島列島の成り立ち
冷たいプレートが沈み込みを続けると、温度が下がり、マグマの発生する位置はより深い西側へと移動し、発生するマグマも性質が異なるようになります。約4,400万年前には、こうした火山活動により、母島列島ができました。
母島列島のここが見どころ!
貨幣石
かつて母島の海岸に生息していた大型底生有孔虫の化石です。母島の南京浜、御幸浜、蝙蝠谷などで見ることができます。
名前の由来はもちろん、貨幣(コイン)に似ていることから。中には4,000万年以上も前のものも!
火山列島の成り立ち
その後、現在に至るまでさらに沈み込みは続いています。マグマが発生する場所はより西側へと移動し、現在も活発に活動している火山列島が生まれたのです。
成長する島、西之島と硫黄島!
西之島
父島から西に約130km離れた海上に浮かぶ絶海の孤島。近年の大規模な噴火により、現在も成長を続けています。どのように島ができ、生き物が渡り住み、進化するのか、原初の生態系の成り立ちについて直接観察できる世界でもごく稀な島で行政機関や研究者が中心となって調査をしています。
規模の大きな噴火の際は、父島でも爆発音が聞こえます!
硫黄島
父島の南、約280kmに位置する火山列島を構成する島の一つ。第二次世界大戦中の激戦地として有名ですが、気象庁の指定する活火山の一つでもあります。長期間に渡る火山活動で現在も隆起を続けており、その高さは年間最大1mにもおよびます。
島の至るところで火山性ガスが噴出していて、名前のとおり島内には硫黄の匂いが立ち込めています!