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どのような事をしているの

小笠原の本来の生態系を守る取組

1830年に小笠原に人が住み始めると、小笠原の外から、本来小笠原にはいない生きもの(外来種)が持ち込まれるようになりました。外来種は、荷物にまぎれたり、食用やペットとしてやってきた後、野生化し、固有の生きものを食べたり、すみかを奪ったりして、小笠原の本来の生態系を変化させていきました。

小笠原固有の生きものの多くは、こうした外来種から身を守ることが出来ず、大きな影響を受けています。

現在、小笠原本来の生態系を守るために、影響の大きい外来種の駆除や小笠原でしか生きられない固有種の保護が行われています。

多くの島からなる小笠原では、守るべき固有種の状況や外来種の侵入状況が、島毎に異なります。このため、島毎に目標を定めながら取組を展開しています。

また、外来種を駆除するときには、別の外来種が広がってしまうことがないよう、また、急激な変化による在来の生きものへの影響が少なくなるよう、さまざまな生きもの同士の関係や生態系全体のバランスに注意しています。

小笠原の本来の生態系を守る取組1
小笠原の本来の生態系を守る取組2

外来種への対応

  背景

ノヤギは、かつて食用として持ち込まれました。植物を食べ、土を踏みつけて地表をむき出しにしたりして、島の植生や生態系全体に大きな影響を与えています。

聟島列島の媒島では、ノヤギによって植物が食べ尽くされ、雨などで流れやすくなった土壌が海へ流出し、サンゴ礁などの海の生態系にも大きな影響が及んでいます。


  取組

小笠原では、東京都が南島で最初にノヤギの根絶に成功し、その後、東島、聟島列島、西島、兄島、弟島などで根絶されました。

残る父島では、東京都や環境省、小笠原村が連携して根絶作業を進めています。ノヤギを根絶した南島や聟島では、ツルワダン、オガサワラアザミ、シマザクラなどの固有植物が回復してきています。

今後は、父島でのノヤギの根絶作業を進めるとともに、ノヤギのいなくなった島での植生回復を目指します。

ノヤギ
ノヤギ
ハンターによる駆除
ハンターによる駆除
オガサワラアザミ
オガサワラアザミ
ツルワダン
ツルワダン

  ノヤギをとりまく関係図

ノヤギをとりまく関係図
  • ノヤギは、固有植物だけでなく、外来植物も食べ、増加を抑えていたと考えられます。
  • ノヤギが根絶された島では、固有植物の回復が見られる一方で、外来植物の増加も報告されており、今後、注意が必要です。

  背景

ノネコは、ペットやネズミ対策用に持ち込まれたネコが野生化したものです。メグロなどの陸鳥類や、カツオドリなどの海鳥類を食べてしまいます。父島や母島に多く生息しており、無人島の弟島にも生息していました。


  取組

小笠原のネコ対策は、行政、NPO、獣医師会が協働し、飼いネコとノネコの一体的な管理を進めています。2005年に、海鳥の繁殖地となっている母島の南崎やアカガシラカラスバトの繁殖地である父島の中央山東平などでノネコの捕獲が始まりました。現在では、父島の全域と母島の南崎や山域の一部で継続的な捕獲が行われています。

南崎では、侵入防止柵の設置や捕獲が進んだことによってオナガミズナギドリが再び繁殖するようになりました。弟島では2007年から捕獲作業を行っており、その結果2010年2月以降ノネコは見つかっていません。

父島では、2005年から捕獲が進み、全島的にネコは低密度化しています。その結果、アカガシラカラスバトをはじめとする鳥類に回復の傾向が見られています。

カツオドリを襲うノネコ
カツオドリを襲うノネコ
捕獲されたノネコは一般家庭で大切にされている
捕獲されたノネコは一般家庭で大切にされている
ノネコ対策の結果、アカガシラカラスバトに回復の傾向が見られる
ノネコ対策の結果、アカガシラカラスバトに回復の傾向が見られる

→ 小笠原ネコに関する連絡会議


  ノネコをとりまく関係図

ノネコをとりまく関係図
  • 捕獲されたノネコは、本土へ搬送し、馴化させて、飼い主探しの取組が行われています。
  • 人とペットと野生動物の共存を目指して2020年に制定された「小笠原村愛玩動物の適正な飼養及び管理に関する条例」では、島内でネコを含めたペットの適正な飼育の考え方を定め、特にネコは、避妊去勢手術とマイクロチップの装着を義務づけています。

  背景

クマネズミは、船にまぎれて入り込んだと言われています。植物の種子や果実を食べて植生に大きな影響を与えています。また時には動物も食べ、東島ではアナドリやオナガミズナギドリの巣が襲われ、兄島では小笠原固有のカタツムリを大量に食べるなどさまざまな影響を及ぼしています。


  取組

環境省では、2008年にヘリコプターを使った殺鼠剤散布により、兄島、弟島、東島、西島、聟島などで駆除を行い、各島で根絶を目標とした取り組みを行いました。駆除を行った東島ではネズミ被害を受けていた固有植物オオハマギキョウが増え、世界で東島でしか確認されていないオガサワラヒメミズナギドリの繁殖が確認されています。

兄島や弟島は面積が大きく、地形や植生も複雑なためネズミが再確認され、その後継続的な取り組みが行われています。

兄島では固有陸産貝類を食害するクマネズミを駆除するため、2016年、2021年に空中散布を行い、クマネズミの生息密度のコントロールを続けています。

クマネズミ
クマネズミ
クマネズミに襲われたアナドリ
クマネズミに襲われたアナドリ
ヘリコプターを使った薬剤散布
ヘリコプターを使った薬剤散布

  オガサワラノスリとクマネズミをとりまく関係図

オガサワラノスリとクマネズミをとりまく関係図
  • オガサワラノスリは、クマネズミや在来の鳥類を食べています。
  • クマネズミを駆除すると、ノスリの食べものが不足するため、ノスリの数が減ったり、より多くの鳥が食べられてしまうといった可能性もあります。
  • しかし、ネズミが侵入する前、ノスリは在来の鳥を食べていたと考えられます。ネズミは、鳥類の生息にも大きな影響を与えていると考えられています。ネズミの影響を取り除くことで、鳥類も含めた本来の生態系が回復し、ノスリがネズミを食料として頼らずに生きていける自然環境を目指しています。

  背景

グリーンアノールが侵入した父島、母島では、その捕食圧によって島の昆虫相は壊滅状態となりました。

2013年3月には、豊かな昆虫相が残されている兄島にグリーンアノールが侵入しました。兄島の昆虫相に深刻な打撃を与えるのではないかと懸念されています。


  取組

環境省では、2008年にグリーンアノールによる捕食の影響が懸念されるオガサワラシジミなどの希少昆虫類の保護区を、母島の新夕日ヶ丘と南崎に設けました。

ここで得られた知見を生かし、兄島では粘着トラップで集中的な捕獲を行っているほか、現在は南部だけで確認されているグリーンアノールの拡散を止めるため、東京都とともに兄島を横断する侵入防止柵を整備しています。

また、父島と母島の港周辺では、グリーンアノールが船に紛れて他の島々へ侵入してしまわないように、粘着トラップを使った駆除を行っています。

オガサワラゼミを食べるグリーンアノール
オガサワラゼミを食べるグリーンアノール
兄島に設置したグリーンアノール侵入防止柵
兄島に設置したグリーンアノール侵入防止柵
トラップで捕獲したアノール
トラップで捕獲したアノール

  希少昆虫をとりまく関係図

希少昆虫をとりまく関係図
  • オガサワラシジミなどの希少昆虫は、本来、固有植物などを食べたり、すみかとしています。
  • このため、保護区においては、グリーンアノールを排除する以外にも、食樹となる植物を植えるなどして、昆虫がより生息しやすい環境づくりを行っています。

  背景

父島では、侵入したニューギニアヤリガタリクウズムシによって固有のカタツムリが激減し、母島では貝食性コウガイビル類によって固有のカタツムリが影響を受けています。

父島に残されたカタツムリの生息地はわずかであり、その生息地の保全、野生個体の飼育繁殖や野生復帰といった取り組みを実施しています。現在、母島においても同様の対策を検討しています。


  取組

環境省では、2010年から父島産カタマイマイ属の保護増殖事業を開始しました。また、公益財団法人東京動物園協会の協力を得て、2017年から本土でも飼育繁殖を開始しました。

2020年にカタマイマイ属2種の野生復帰計画が策定され、寄生虫等を現地に持ち込まないよう配慮しながらアナカタマイマイとチチジマカタマイマイを元の生息地である巽島に野生復帰させました。

今後もこうした取組を続けていくと同時に、外来プラナリア類を分布範囲外に広げないための取組を継続していくことが重要です。

土付き苗の移動に伴う、母島への外来種の侵入を防ぐため、令和2年度より「ははの湯(母島植物温浴設備)」の暫定運用を開始しました。 さらに詳しく

ニューギニアヤリガタリクウズムシ
ニューギニアヤリガタリクウズムシ
カタマイマイの域外保全
カタマイマイの域外保全
マイマイの飼育風景
マイマイの飼育風景
屋外飼育施設(上部開放型飼育施設)
屋外飼育施設(上部開放型飼育施設)
ははの湯(母島植物温浴処理設備)
ははの湯(母島植物温浴処理設備)
ははの湯の稼働風景
ははの湯の稼働風景

  背景

アカギは、かつて薪や木炭の原料とするために小笠原に持ち込まれました。

アカギは非常に強い生命力を持ち、成長が早く、小笠原固有の樹木にかわって生育地を拡大しています。


  取組

小笠原では、これまでに父島、母島、弟島、平島でアカギが確認されています。弟島と平島では成木の駆除が完了しています。

現在は被害が大きく、アカギ林の面積が拡大している母島において、林野庁と環境省が連携しながら重点的に対策を行っています。父島でも他の外来植物とともに一部で駆除が行われています。

地面を覆うアカギの稚樹
地面を覆うアカギの稚樹
伐っても萌芽するアカギ
伐っても萌芽するアカギ

  背景

モクマオウは、乾燥に強く、栄養分の少ない土地でも生育することができます。たくさんの葉を落として地面を覆い、他の植物の発芽や生長を押さえてしまいます。父島列島や母島列島に広く分布しています。


  取組

兄島では環境省が駆除に着手し、その後林野庁が引き継いで駆除を実施しています。父島や西島ではNPO法人も駆除に取り組んでいます。

モクマオウ
モクマオウ
地面を覆うたくさんのモクマオウの落ち葉
地面を覆うたくさんのモクマオウの落ち葉

固有種保全の取組

アホウドリの新繁殖地づくり

  背景

聟島列島は、かつてアホウドリが生息し、またクロアシアホウドリの繁殖地となっていましたが、1930年代に乱獲され、一度繁殖地が消滅した経緯があります。1970年代になるとクロアシアホウドリとコアホウドリが繁殖し、2000年代からはアホウドリの飛来も確認されるようになりました。

アホウドリの大きな繁殖地は、世界中で伊豆諸島の鳥島と尖閣諸島の2か所のみで、最大の繁殖地である鳥島は火山島であるため、安全な新たな繁殖地の確保が必要とされています。


  取組

環境省、米国魚類野生生物局及び(財)山階鳥類研究所は聟島列島にアホウドリの繁殖地を復活させるための共同プロジェクトを実施しました。アホウドリを誘引するためのデコイや鳴き声を音声で流す装置を設置するとともに、巣立った場所に戻ってくることを期待して、鳥島で誕生したヒナの一部を聟島に移送しました。

聟島を無事巣立ったヒナは、他のアホウドリと同じように太平洋を北上し、カムチャツカ半島からアラスカなどまで移動していることが確認され、2011年からは聟島へ戻ってきていることも確認されています。

2012年からは東京都が誘引や調査の事業を引き継ぎ、2020年までに聟島から巣立った個体を含むペアから7羽の巣立ちが確認されています。

コアホウドリ
コアホウドリ
クロアシアホウドリ
クロアシアホウドリ
デコイと飼育中のヒナ(中央)
デコイと飼育中のヒナ(中央)
鳥島から聟島へ移送されたヒナ
鳥島から聟島へ移送されたヒナ

弟島のトンボを守る取組

  背景

弟島には、父島や母島では見られなくなった固有のトンボ類5種が全て生息しています。一方、他の島にはいない外来種(ウシガエル、ノブタ)が生息していました。どちらも、かつて食用として持ち込まれたと言われています。ウシガエルは、トンボの幼虫などを食べ、ノブタは、植物、果実、昆虫、カタツムリなど様々なものを食べるほか、土を掘り起こしてトンボの生息場所を荒らしていました。


  取組

環境省では、2 0 0 4 年からウシガエルの、2005年からノブタの駆除を行いました。2008年以降はどちらも確認されておらず、根絶が達成されたと考えられます。

また、トンボ類が安定して繁殖することができるよう、島内の各所に人工池を設置し、定期的に落葉の除去などのメンテナンスがされています。

今後は、安定して繁殖できるようになった固有のトンボが、他の島にも移り住んでいくことが期待されています。

ノブタ、ウシガエルは根絶した
ノブタ、ウシガエルは根絶した
弟島に設置されたトンボ池
弟島に設置されたトンボ池
オガサワラトンボ
オガサワラトンボ

  弟島での関係図

弟島での関係図
  • 外来種のノブタが固有のトンボ類やカタツムリに大きな影響を与えていました。
  • ただし、ノブタは同じ外来種であるウシガエルも食べるので、ノブタだけを駆除するとウシガエルが増えてしまいます。このため、ウシガエル→ノブタの順に駆除を行いました。